最初の自動化プロジェクトを作成します。これは、例えば「請求書自動作成ロボット」や「売上レポート集計ロボット」といった、あなたのビジネス課題ごとに用意する「仕事部屋」のようなものです。clasp createコマンドで部屋を作り、中身を確認するところまでを丁寧に解説します。
1. プロジェクト用の「仕事部屋」を作る
まず、パソコンの中に、これから作る自動化プログラム専用の「仕事部屋(フォルダ)」を用意します。 プログラムの世界では、「1つの仕事(プロジェクト)に、1つの専用部屋(フォルダ)を用意する」 のが基本ルールです。部屋を分けることで、請求書作成のコードと、顧客管理のコードが混ざってしまう事故を防ぎます。
ターミナル(黒い画面)で、以下の呪文を一行ずつ打ち込んでみましょう。
# まずはデスクトップに移動します
cd Desktop
# 新しいフォルダを作ります(名前は自由ですが、今回は「my-first-robot」にしましょう)
mkdir my-first-robot
# 作ったフォルダの中に入ります
cd my-first-robot
これで、my-first-robot という名前の、空っぽの仕事部屋に移動しました。
ここが、あなたの最初の部下となるロボットの開発拠点です。
2. 新しいGASプロジェクトを作成する
この空っぽの部屋で、部下に「新しい仕事の準備をしてくれ」と頼みます。
clasp create --title "請求書作成ロボット"
create: 新しい仕事を作ってくれ--title "...": 仕事の名前はこれだ
すると、部下が「どんな種類の仕事ですか?」と聞いてきます(矢印キーで選び、Enterで決定)。
? What script do you want to create? (Use arrow keys)
> standalone
docs
sheets
slides
forms
webapp
api
今回は一番上の standalone(スタンドアローン)を選んで Enter を押してください。
これは「特定のExcelファイル(スプレッドシート)に依存しない、独立したロボット」という意味です。
例えば、「毎月1日に、先月分の請求書PDFを50社分作ってGoogleドライブに保存する」といった仕事は、この standalone が向いています。
Created new standalone script: ... と表示されれば成功です!
これで、Googleのサーバー上に「請求書作成ロボット」という名前の、新しい仕事スペースが確保されました。
3. 何が起きたのか確認する
成功すると、あなたのパソコンの「仕事部屋(フォルダ)」の中に、ファイルが2つ自動で生成されます。
ターミナルで ls(Macの場合)か dir(Windowsの場合)と打って、中身を確認してみましょう。
生成されたファイルの正体
.clasp.json:- 「連絡先」 です。
- 「このパソコンの
my-first-robotフォルダは、Google上にあるID: xxxxx の『請求書作成ロボット』プロジェクトと繋がっていますよ」という大事な情報が書かれています。 - 絶対に消したり編集したりしないでください。 これがなくなると、部下との連絡手段を失ってしまいます。
appsscript.json:- 「ロボットの設定書」 です。
- 例えば「このロボットは日本の時間で動きます(タイムゾーン設定)」とか「このロボットはGmailを送る権限が必要です」といった、ロボットの基本的な仕様が書かれています。
- 今は中身を気にする必要はありません。「ふーん、設定ファイルね」くらいでOKです。
4. VS Code で「設計図」を開く
ここで、いよいよプログラマーっぽいコマンドを使います。 ターミナルで以下を入力してください。
code .
code: VS Code(設計ツール)を起動しろ.: 「この場所(今のフォルダ)にある設計図」 を開け
これを実行すると、VS Codeが立ち上がり、左側に先ほどの my-first-robot フォルダの中身が表示されるはずです。
ここが、あなたがロボットの頭脳(コード)を書いていく作業場になります。
5. よくある質問 (Q&A)
Q1. standalone 以外はいつ使うの?
A. 特定のファイルと紐付けたいときに使います。
例えば「このスプレッドシートを開いたときだけ動くメニューを作りたい」という場合は sheets を選びます。
しかし、最初は管理が簡単な standalone がおすすめです。
Q2. フォルダ名(my-first-robot)は後で変えてもいい?
A. はい、大丈夫です。
フォルダ名を変えても、中の .clasp.json さえ無事なら、Googleとの繋がりは切れません。
Q3. code . と打ってもVS Codeが開きません!
A. VS Codeのインストール時に設定が漏れている可能性があります。
VS Codeを開いて、Ctrl + Shift + P (Macは Cmd + Shift + P) を押し、「Shell Command: Install 'code' command in PATH」と入力して実行してみてください。
それでもダメなら、普通にVS Codeを起動して、「ファイル」→「フォルダを開く」から my-first-robot を選べば同じことができます。
6. 理解度チェッククイズ
Q1. 新しいプロジェクトを作るコマンドは?
A. clasp new
B. clasp create
C. clasp make
Q2. 最初に選ぶのにおすすめのスクリプトタイプは?
A. sheets (スプレッドシート)
B. docs (ドキュメント)
C. standalone (独立型)
Q3. 自動生成される .clasp.json はどう扱うべき?
A. 邪魔なので消す
B. 中身を書き換えて遊ぶ
C. Googleとの接続情報が入っているので、絶対に触らない
答え合わせ(クリックして開く)
Q1: B
create (作成) です。
Q2: C
まずは何にも依存しない standalone がシンプルで扱いやすいです。
Q3: C これがなくなると、Google上のプロジェクトと通信できなくなります。
お疲れ様でした! これで、あなたのパソコンとGoogleのサーバーが繋がり、ロボット開発の拠点もできました。 次の章では、いよいよこのVS Codeを使って、ロボットに最初の命令(コード)を書き込んでいきます。 「Aさん宛の請求書を作れ」といった具体的な指示を出す方法を学びましょう。
2 thoughts on “第4章:最初の仕事部屋(プロジェクト)を作ってみる”