いよいよ、あなたの代わりに働くロボットの「頭脳」を作っていきます。VS Codeで命令書(コード)を書き、それをGoogleのサーバーにいるロボット本体に送信(プッシュ)し、正しく動くか確認するまでの一連の流れを体験します。AI(Copilot)に手伝ってもらう方法も紹介!
1. VS Code で「命令書」ファイルを作る
前章で code . を使って、ロボットの「設計室(VS Code)」を開きましたね。
左側のファイル一覧が表示されているエリア(エクスプローラー)で右クリックし、「新しいファイル」 を選びます。
ファイル名は main.js にしましょう。
main は「メインの、主要な」という意味で、プログラムの世界では「ここが処理の中心ですよ」という意図でよく使われる名前です。
⚠️ 豆知識:拡張子の話
- Googleのサーバー上: GASのファイルは
.gsという名前です。 - あなたのパソコン上: 私たちは
.js(JavaScript) という名前を使います。
「え、名前が違って大丈夫?」と不安になるかもしれませんが、全く問題ありません。
通訳ツールである Clasp が、あなたが書いた .js ファイルをGoogleに送るときに、自動的に .gs に翻訳してくれます。
パソコン上では .js にしておくことで、VS Codeの便利な機能(コードの色分けや入力補助)を最大限に活用できるので、開発がずっと楽になります。
2. ロボットへの最初の命令を書いてみる
作成した main.js に、以下の命令をコピー&ペースト(または手入力)してみてください。
これは「『こんにちは!』と挨拶して、簡単な計算をする」という、ロボットへの最初の指示です。
function doSomething() {
// Logger.log は「これを記録しておいて」という命令
Logger.log("こんにちは!初めての仕事です。");
// 簡単な計算もできます
const sales = 10000;
const tax = sales * 0.1;
Logger.log("売上10,000円の消費税は " + tax + " 円です。");
}
書き終わったら、キーボードの Ctrl + S (Macなら Command + S) を押して、ファイルを保存します。
これを忘れると、せっかく書いた命令がパソコンの中に置かれたままで、ロボットに届きません! 保存は癖にしましょう。
🤖 ここでAI Agent (Copilot) の出番!
もしあなたがGitHub Copilotを導入しているなら、魔法のような体験ができます。 「手打ち」は勉強にはなりますが、実務では 「Agentに書いてもらう」 のが基本です。
パターンA:コメントから生成する
書いたコードの続きに、日本語でこうコメントを書いてみてください。
// 今日の日付を取得して、「本日のレポートです」という形式でログに出力する
と書いて Enter キーを押すと…
AIがフワッと薄い文字で const today = ... のようなコードを提案してくるはずです。
その提案でよければ Tabキー を押すだけで、コードが自動で入力されます。
パターンB:チャットで依頼する (Agentモード)
VS Codeの左側にあるチャットアイコン(または Ctrl + I)を押して、こう入力してみてください。
「スプレッドシートのA列を全部読み込んで、ログに出すコードを書いて」
すると、Agentがコードを生成してくれます。あなたは「Accept(適用)」ボタンを押すだけ。 これが「AIとの共同作業」です。あなたはやりたいことを日本語で伝えるだけで、面倒なコーディングはAgentが肩代わりしてくれます。
3. 命令書をロボットに送信する (push)
あなたがパソコンで書いた命令書を、Googleのサーバーにいるロボット本体に送ります。これを 「プッシュ (push)」 と呼びます。 「手元の最新の指示を、向こう側にグッと押し込む」イメージです。
VS Codeの下の方にあるターミナル(もし無ければ Ctrl + @ で開けます)で、以下のコマンドを入力します。
clasp push
画面に Pushed 1 file. のように表示されれば成功です。
これで、あなたのパソコンにあった main.js が、Googleのサーバーに main.gs として無事に届きました。
4. ロボットが正しく動くか、現場で確認する
命令がちゃんと届いて、ロボットが理解してくれたか確認しにいきましょう。
clasp open
このコマンドを打つと、ブラウザでGoogleのGAS開発画面(ロボットの現場)が開きます。
左側のファイル一覧に main.gs があり、中身が先ほど書いたコードと同じになっているはずです。
- 上部のツールバーで、実行する命令
doSomethingが選ばれていることを確認します。 - 「実行」 ボタンを押します。
- (初回のみ)「このロボットにあなたのGoogleデータへのアクセスを許可しますか?」という承認画面が出ます。これはあなたが書いたコードなので、安心して「許可」してください。
- 画面下の「実行ログ」に
こんにちは!...と表示されれば大成功です!
5. よくある質問 (Q&A)
Q1. clasp push を忘れるとどうなりますか?
A. Google上のロボットは古い命令のまま動きます。
「コードを直したのに直ってない!」という時は、十中八九 clasp push の忘れか、ファイルの保存忘れです。
Q2. ファイル名は main.js 以外でもいいですか?
A. はい、自由です。
invoice.js や report.js など、中身がわかる名前をつけるのが良い習慣です。
Q3. 日本語のコメントは消したほうがいいですか?
A. いいえ、残しておきましょう。 未来の自分へのメモになりますし、AIがコードを理解する助けにもなります。
6. 理解度チェッククイズ
Q1. パソコン上でGASのコードを書くときの拡張子は?
A. .txt
B. .gs
C. .js
Q2. 書いたコードをGoogleに送信するコマンドは?
A. clasp send
B. clasp push
C. clasp upload
Q3. コードを変更したのに反映されない!原因として考えられるのは?
A. ファイルを保存していない (Ctrl+S 忘れ)
B. clasp push をしていない
C. 両方
答え合わせ(クリックして開く)
Q1: C
パソコン上ではJavaScript (.js) として扱います。
Q2: B
「押し込む」イメージで push です。
Q3: C 保存して、プッシュする。この2ステップが必要です。
おめでとうございます!あなたは今、プロの開発者と同じサイクルを体験しました。
- 作る: パソコン(VS Code)で命令(コード)を書く。
- 送る:
clasp pushでロボットに送信する。 - 確認する:
clasp openで現場を見に行き、実行してみる。
この 「作って→送って→確認」 のリズムが、自動化ロボットを育てていく上での基本ステップになります。 最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れると数分でこなせるようになります。
次の章では、この開発サイクルをよりスムーズにし、安全に開発を進めるための「現場のルール」について学びます。
2 thoughts on “第5章:ロボットに最初の命令(コード)を書いてみよう”