「黒い画面が怖い」「ローカルって何?」 そんなあなたのために、Claspを使う上で避けて通れない「基礎用語」と「心構え」を、専門用語ゼロで解説します。
1. 「ローカル」と「クラウド」って何?
Claspを使う上で、まずこの2つの言葉の違いをハッキリさせておきましょう。 料理店に例えると、こんなイメージです。
ローカル(あなたのPC)=「厨房(キッチン)」
- 場所: あなたの目の前にあるパソコンの中。
- 役割: 「試作・調理をする場所」 です。
- 特徴:
- 包丁やまな板(便利な道具)が揃っていて、作業がしやすい。
- 失敗して皿を割っても、お客様にはバレない。
- ここで作っただけでは、まだお客様(ユーザー)には届きません。
クラウド(Google)=「客席(ホール)」
- 場所: インターネットの向こう側。
- 役割: 「料理を提供する場所」 です。
- 特徴:
- 24時間365日、お客様のために稼働している。
- ここで直接調理をするのは、お客様の目の前で火を使うようなもので、危険だし効率が悪い。
Claspの役割は、「厨房(ローカル)」で作った料理を、「客席(クラウド)」に運ぶウェイター のようなものです。 これまでは「客席のテーブルの上で直接料理を作っていた(ブラウザでの開発)」ので、大変だったのです。
2. 「黒い画面(ターミナル)」への恐怖をなくそう
プログラマーが使っている、あの文字だけの黒い画面。 あれを 「ターミナル」 と呼びます。
「難しそう…ハッカーみたい…」と引いてしまう気持ち、よく分かります。 でも、経営者やリーダーであるあなたなら、こう考えてみてください。
「これは、コンピュータという『超・有能だけど無口な部下』へのチャットツールだ」
マウス操作(GUI)は、部下の肩を叩いて「これやって」とジェスチャーで伝えるようなものです。直感的ですが、細かい指示は出しにくい。 一方、ターミナル(CUI)は「言葉(文字)で明確に指示を出す」ツールです。
- あなた:
mkdir my-project(my-projectというフォルダを作ってくれ) - PC: (無言で実行)
- あなた:
cd my-project(その中に入ってくれ) - PC: (無言で実行)
これだけです。 あなたは 「コマンド」という定型文 をチャットで送るだけ。 英語の略語を使いますが、覚える必要はありません。カンニングペーパーを見ながら打てばいいのです。
これだけ覚えればOK!基本の3語
最初はこれだけ使えれば業務は回ります。
cd(Change Directory): 「移動せよ」cd Desktop: デスクトップへ移動。
ls(List): 「中身を見せろ」- 今いるフォルダにあるファイル一覧を表示します。(Windowsなら
dir)
- 今いるフォルダにあるファイル一覧を表示します。(Windowsなら
mkdir(Make Directory): 「フォルダを作れ」mkdir 2025-project: 新しいフォルダを作成。
3. 「パス (Path)」という住所の概念
もう一つだけ、重要な概念があります。それが 「パス (Path)」 です。 これはファイルの「住所」のことです。
- 絶対パス: 「東京都港区…」から書く正式な住所。
- 相対パス: 「ここから2つ隣の家」という、今いる場所からの道順。
Claspを使うときは、基本的に「プロジェクトのフォルダの中に移動(cd)」してから作業するので、あまり複雑なパスを打つことはありません。
「迷子になったら ls で現在地確認」と覚えておけば大丈夫です。
4. 開発のサイクル:これまでとこれから
これまでのGAS開発(ブラウザのみ)
- ブラウザを開く。
- 狭い画面でポチポチ書く。
- 間違えて消してしまい、青ざめる。
- ネットが切れたら作業終了。
Claspを使ったGAS開発(モダンな開発)
- ローカル(厨房) で、AIと相談しながら快適にコードを書く。
- ローカル で保存する。(ネットがなくても作業できる!)
- ターミナルで
clasp push(配膳!)と打つ。 - ブラウザで動くか確認する。
ひと手間増えるように見えますが、「考える・書く」時間の生産性が段違い なので、トータルでは圧倒的に速く仕事が終わります。
5. よくある質問 (Q&A)
Q1. 黒い画面で変なコマンドを打ったら、PCが壊れませんか?
A. 基本的には大丈夫です。
今回使う cd や mkdir などのコマンドでPCが壊れることはありません。
ただし、rm (削除) コマンドなどは注意が必要ですが、この連載では安全なコマンドしか使いません。
Q2. 英語が苦手ですが大丈夫ですか?
A. 問題ありません。
出てくる単語は決まっています。「make directory (フォルダを作る)」→ mkdir のように、由来を知ると覚えやすくなります。
6. 理解度チェッククイズ
Q1. 「ローカル」とはどこ? A. インターネットの向こう側 B. あなたの目の前のパソコンの中 C. Googleのデータセンター
Q2. ターミナルで「フォルダの中身を見る」コマンドは?
A. look
B. see
C. ls (または dir)
Q3. Claspを使った開発で、コードを書く場所は? A. ブラウザのGASエディタ B. ローカルのVS Code(厨房) C. スマートフォンのメモ帳
答え合わせ(クリックして開く)
Q1: B ローカルはあなたの手元の環境(厨房)です。
Q2: C
Listの略で ls です。
Q3: B ローカル(厨房)で書いて、Claspでアップロード(配膳)します。
さあ、準備はいいですか? 次は実際にツールをインストールしていきましょう。あなたのPCが「最強の開発マシン」に生まれ変わります!
3 thoughts on “第1章:Claspを使う前に知っておく最低限のこと”