ここまで完走おめでとうございます! 最後に、あなたがこれから学ぶべき「次の武器」と、エンジニアとしての心構えをお伝えします。
1. TypeScript (タイプスクリプト) への挑戦
Claspを使う最大のメリットの一つが TypeScript です。 これは「JavaScriptの進化版」で、より安全にコードを書ける言語です。
何が嬉しいの?
JavaScriptは自由すぎる言語なので、こんなミスが起きます。
// JavaScriptの場合
function tax(price) {
return price * 0.1;
}
tax("1000円"); // 結果: NaN (計算不能) -> エラーにならずに進んでしまう!
TypeScriptなら、こう書けます。
// TypeScriptの場合
function tax(price: number) { // 「数字しか受け付けないよ」と指定
return price * 0.1;
}
tax("1000円"); // VS Code上で「エラー!ここは数字を入れて!」と赤線が出る
実行する前にミスに気づけるので、バグが激減します。
Claspなら、ファイルの拡張子を .js から .ts に変えるだけで、自動的に変換してアップロードしてくれます。
「安全装置付きのJavaScript」だと思って、ぜひ挑戦してみてください。
2. Git (ギット) で「タイムマシン」を手に入れる
今回は clasp push だけを使いましたが、本来は Git というツールと組み合わせて使います。
Gitは、ファイルの変更履歴を保存する「タイムマシン」のようなものです。
- 「昨日の状態に戻したい」
- 「この機能を追加する前の状態が見たい」
- 「チームメンバーがどこを変更したか知りたい」
これらが全て可能になります。 VS CodeにはGitの機能が標準で入っているので、「Git 入門」などで検索して少しずつ触ってみてください。 「セーブポイント」を自分で作れるようになるので、安心して大胆な改造ができるようになります。
3. AI Agent (Copilot) プロンプト術
GASは非常にメジャーな言語なので、AIが得意とする分野です。 これからのプログラミングは、「AI Agentにいかに上手に指示を出すか」 が重要になります。
良いプロンプト(指示書)のテンプレート
Agentにコードを書いてもらうときは、以下の3点を伝えると精度が上がります。
- やりたいこと: (例:スプレッドシートのA列にあるURLを全部チェックしたい)
- 入力データ: (例:A列には
https://...という文字列が入っている) - 出力結果: (例:アクセスできないURLがあったら、B列に「エラー」と書き込みたい)
実際の聞き方例 (VS Code Chat)
「@workspace /new GoogleスプレッドシートのGASを書いてください。 アクティブなシートのA列2行目以降にURLが入っています。 これを順番に
UrlFetchAppでアクセスして、ステータスコードが200以外(エラー)だった場合、その行のB列に『NG』、正常なら『OK』と書き込む関数を作ってください。」
これくらい具体的に指示すれば、Agentはほぼ完璧なコードを返してくれます。 あなたは「コードを書く人」から「Agentに指示を出す監督」になるのです。
4. さいごに:あなたはもう「エンジニア」です
ここまで読み進めたあなたは、もう「GAS初心者」ではありません。「Clasp使い」であり、「AI Agent使い」 です。 黒い画面(ターミナル)を叩き、VS CodeでAgentと対話しながらコードを書く。 これは、GoogleやAmazonのエンジニアがやっていることと、本質的には同じです。
このスキル(VS Code, Terminal, Node.js)は、GAS以外のプログラミング(Web開発、Pythonなど)でもそのまま使える一生モノの武器です。
ぜひ、身の回りの「めんどくさい」を自動化して、時間を生み出してください! そして、浮いた時間でまた新しい技術を学んでみてください。
Happy Coding!
よくある質問 (Q&A)
Q. TypeScriptは必須ですか?
A. 最初はJavaScriptでOKですが、慣れたら移行すべきです。
最初は .js で書いても全く問題ありません。
ただ、コードが長くなってくると「変数の型ミス」などで時間を浪費しがちです。
そのストレスを減らすために、TypeScriptは非常に強力な武器になります。
Q. Gitは難しそうです…。
A. 「セーブポイント」を作るだけと考えましょう。
最初は git add git commit という2つのコマンドだけで十分です。
「ゲームのセーブ」と同じ感覚で、こまめに記録を残す習慣をつけるだけで、開発の安心感が段違いになります。
One thought on “第9章:次にやるべきこと”