無料・OSSのAIハーネスが増えすぎた。全部試す必要はない。用途で選べばいい。コーディングならOpenCodeやAider、生活全般のアシスタントならHermesやGoose、常駐で自動化したいならOpenHandsです。
なぜ今この話なのか
2026年に入って、オープンソースのAIハーネスが爆発的に増えました。OpenCode、Aider、Gemini CLI、Cline、Goose、Hermes、OpenHands、Continue。どのリポジトリも数万〜20万超のスターが付いています。
この記事は2026年8月時点の情報でまとめました。ライセンスは各リポジトリのページで確認しています。
「ハーネス」とは何か
先に言葉の整理です。ハーネスとは、LLMにファイル操作・shell・Git・ブラウザ操作・メモリなどの実行環境を与える道具を指します。モデルそのものではありません。
ここが混乱の元です。同じモデルでも、Aiderで使うかClineで使うかで、動きは全然違います。性能を決めるのはモデルだけでなく、ハーネスがどれだけ仕事をさばけるかです。
4類型で整理した比較表
断定的ランキングはしません。用途で分けるのが読みやすいです。
各ツールを1つずつ見る
OpenCode
コーディング特化。MITライセンスで、スターは約19万。ターミナルで動くエージェントです。plan(読み取り専用)とbuild(フルアクセス)の2モードをTabで切り替えます。ファイル操作・shell・Gitは当たり前。MCPやACPにも対応します。モデルは自由に切り替えられます。私はこれをメインで使っています。
- 強い点: エージェントの振る舞いを細かく制御できる。サブエージェントも充実。
- 弱い点: ターミナル前提なので、GUI派には合わない。
- 向く人: CLIが好きで、モデルを気分で切り替えたい人。
Aider
コーディング特化。Apache-2.0、約4.8万スター。Python製のペアプログラミングツールです。変更を自動でgitコミットしてくれるのが特徴。コードベース全体をマップして、大きなプロジェクトでも動きます。100以上の言語に対応し、ローカルLLMにも繋げます。
- 強い点: 自動コミットでAIの変更をいつでも戻せる。実績が長い。
- 弱い点: 対話はCLI中心。エディタでの操作感は薄め。
- 向く人: gitの流儀を崩したくない人、既存コードの改修が多い人。
Gemini CLI
コーディング特化。Apache-2.0、約10万スター。Google公式です。Googleアカウントでログインすると1日1000リクエストまで無料。1MトークンのコンテキストとGemini 3モデル。Google検索でのグラウンディングやWeb取得も内蔵しています。
- 強い点: 無料枠が大きい。Google検索で最新情報を引ける。
- 弱い点: モデルがGemini前提。他社モデルを使いたい人には合わない。
- 向く人: とにかく無料で始めたい人、Google環境の人。
Cline
コーディング特化。Apache-2.0、約6.6万スター。VS Code拡張、CLI、SDKの3本柱です。操作は承認制で、PlanモードとActモードを切り替えます。変更はチェックポイントで戻せます。OpenRouter経由なら200以上のモデル。マルチエージェントや定期実行、Slack連携もあります。
- 強い点: IDE内で動くので視認性が高い。自律運転も承認制も選べる。
- 弱い点: 機能が多く、慣れるまで設定が重い。
- 向く人: IDEから離れたくない人、承認フローが欲しい人。
Hermes
汎用ローカルエージェント。MIT、約22万スター。Nous Research製です。経験からスキルを自学し、使ううちに改善する学習ループを持っています。過去の会話を検索できるメモリも内蔵。TelegramやSlackからも操作できて、$5のVPSでも動きます。
- 強い点: コーディング以外の日常エージェントとして強い。長期記憶。
- 弱い点: コーディング精度は特化型に一歩譲る。
- 向く人: スマホからAIに仕事を頼みたい人、生活アシスタント志向の人。
Goose
汎用ローカルエージェント。Apache-2.0、約5.3万スター。Linux Foundation配下のAgentic AI Foundationのプロジェクトです。デスクトップアプリ・CLI・APIがあります。Rust製で軽い。研究、文章、自動化、データ分析、コードまで広く扱えます。15以上のプロバイダ、70以上のMCP拡張に対応します。
- 強い点: 汎用性と拡張性。コミュニティが大きい。
- 弱い点: 特定分野で尖っているわけではない。
- 向く人: 1つのエージェントで何でもこなしたい人。
OpenHands
自律開発。MIT、約8.3万スター。最近「Agent Canvas」として生まれ変わりました。OpenHands本体に加えて、Claude CodeやCodex、GeminiなどのACP対応エージェントを動かせます。セルフホスト型のコントロールセンターです。スケジュール実行やGitHub Issueの分解などの自動化を組み込めます。
- 強い点: 常時起動のエージェント運用。自動化との親和性。
- 弱い点: セルフホストなので環境構築が要る。
- 向く人: サーバーでエージェントを常駐させたい人、チーム運用の人。
Continue
CI/継続チェック寄りのIDEエージェント。Apache-2.0、約3.5万スター。VS Code拡張とCLIで動き、エディタ内で継続的にコードを見てもらう運用に向きます。なお2026年時点でリポジトリは読み取り専用になり、2.0.0を最後に開発を終えています。使うなら現状を把握しておくと良さそうです。
- 強い点: エディタ統合が素直。
- 弱い点: 開発停止中。新機能は望めません。
- 向く人: シンプルな常駐チェックが欲しい人。OSSの継続性を考える材料にもなります。
OpenCodeユーザーから見た違い
私の基準点はOpenCodeです。他のツールと比べてみます。
- Aider: OpenCodeと同じターミナル型ですが、gitコミット中心か、エージェント制御中心かの違いです。
- Cline: エディタ内で動き、承認フローがGUI。OpenCodeの承認フローはCLIです。
- Gemini CLI: モデル固定で始める手軽さ。OpenCodeはモデル自由。
- Hermes/Goose: コーディング特化ではなく汎用エージェント。OpenCodeの仕事は「コード」、Hermesの仕事は「あなたの日常」に近いです。
「無料」の意味を分ける
「無料」には層があります。どこが無料で、どこが有料なのか。ここを分けておきます。
- OSSであること: ソースが公開され、自由に使える。全ツールが該当します。
- ハーネス自体: どのツールも本体は無料です。
- モデルのAPI料金: 一番大事な分かれ目。ハーネスが無料でも、ClaudeやGPTのAPI利用料は別に発生します。従量課金で積み上がります。
- ローカルLLM対応: Ollamaなどに繋げばAPI料金ゼロで動かせます。Aider、Cline、Gooseにこの選択肢があります。
- Gemini CLIの無料枠: Googleアカウントで1日1000リクエストまで無料。ハーネスもモデルも無料で試せるのはここです。
- OpenRouter: 複数モデルを一括で扱う中継サービス。安いモデルを選べば、コストを抑えられます。
用途別おすすめ
- とにかく無料で始めたい: Gemini CLI(Googleアカウントの無料枠)
- 既存コードの改修が中心: Aider(自動コミット)
- CLIでモデルを自由に切り替えたい: OpenCode
- IDEから離れたくない: Cline
- 生活全般をアシスタント化したい: HermesかGoose
- サーバーで常駐・自動化したい: OpenHands
1つに統一しなくてよい
最後に大事な話です。ハーネスは1つに絞らなくていい、と私は思っています。私はOpenCodeをメインに、Hermesをサブで使い分けています。GitHubのIssueやPRを共通キューにすれば、複数のハーネスを横断して使えます。Issueを切って、適したハーネスに投げる。それで十分回ります。
OSSハーネスの利点は移行コストの低さです。設定ファイルを読み直せるので、乗り換えても実質の損失はありません。
まとめ
無料のOSS AIハーネスは、「選ぶ」時代ではなく「使い分ける」時代に入りました。全部試すのは時間の無駄です。作業に合わせて1つ選び、必要なら組み合わせればいい。この記事が選ぶ手がかりになれば嬉しいです。
参考
- OpenCode(MIT)
- Aider(Apache-2.0)
- OpenHands(MIT)
- Goose(Apache-2.0)
- Gemini CLI(Apache-2.0)
- Continue(Apache-2.0)
- Cline(Apache-2.0)
- Hermes Agent(MIT)
※ 本記事の情報は2026年8月8日時点の確認内容です。OSSの開発状況や料金は変わる可能性があります。