OpenCodeで開発してきた身として、久しぶりにHermes Agentを触ってみた。「ここまで来ていたのか」というのが正直な感想だ。ただ結論は単純な乗り換えではない。コーディングはOpenCode、記憶・常駐・自動化・複数チャネルはHermes。用途で併用するのが一番しっくりくる。
発端は、何気ない一言
最近、知人と「エージェントどうしてる?」という話になった。僕はOpenCodeをメインに使っている。コーディングエージェントとしての使い勝手が気に入っていて、それで十分だと思っていた。
そこで「Hermes Agentもいいよ」と言われた。聞いたことのある名前だった。ただ僕の記憶は、まだ「CLIで動くチャットボット」止まりだった。とりあえず公式サイトを見てみることにした。
まず驚いたのは、記憶と自己改善のループ
サイトを開いて最初に目に飛び込んできたのが「The Agent That Grows With You」。エージェントが「育つ」という発想だ。
Hermesは永続メモリを持っている。MEMORY.md と USER.md に学んだことを書き、セッションをまたいで覚えている。複雑な作業を終えるとスキルを自動生成する。そのスキルを使いながら改善していく。過去の会話をFTS5で検索して振り返る仕組みもある。
OpenCodeにもスキルやAGENTS.mdはある。ただし、これは「開発プロジェクトの文脈」を整える道具だ。Hermesのループは少し違う。エージェント自身が長期間使い込むほど賢くなっていく。「この問題は前回どう解決したか」を覚えている存在になる方向性だ。
開発以外の領域が、思いのほか伸びていた
もうひとつ印象的だったのは、機能の広がりだ。
- デスクトップアプリ(macOS / Windows / Linux)
- Web検索、ブラウザ操作、画像生成、テキスト読み上げ
- Telegram / Discord / Slack / WhatsApp / Signal / Email、それにCLI
- 自然言語で書けるスケジュール実行
- サブエージェントへの委任、並列実行
- サンドボックスはローカル / Docker / SSH / Singularity / Modal の5種
「チャットするだけのボット」から、かなり進化していた。ボイスモードや「Hey Hermes」のウェイクワードもある。エージェントに話しかけたり、Discordのボイスチャンネルで会話したりするらしい。
複数チャネル対応が効いているのは、常駐型エージェントならではだ。PCを閉じても、ゲートウェイが動いていればTelegramから指示を出せる。OpenCodeのノリだと「ターミナルを開く→作業」という流れだけど、Hermesは「スマホから聞く→答えが返る」という接し方になる。この差は地味に大きい。
モデルの自由度とライセンス
対応モデルも広い。OpenRouter、OpenAI、Nous Portal、自前のエンドポイントまで。hermes model で切り替える。特定ベンダーに縛られない。
ライセンスはMIT。コードを読めるし、フォークして育てることもできる。これもOpenCodeユーザーには馴染みやすいポイントだ。
ちなみにバージョン番号の進み方が速い。2026年6月から8月にかけて、0.15→0.16→0.17→0.18→0.19→0.20と、約2週間ペースで刻んでいる。トップページの案内とGitHub Releasesのタグが一時的にズレることもある。最新のv0.20.0は2026年8月3日付だ。
OpenCodeとHermes、どこが違うのか
大雑把に整理すると、次の表になる。
開発中にファイルを編集してテストを回す、という文脈ではOpenCodeのほうが頭ひとつ抜けている。レスポンスも速いし、エディタ連携も自然だ。
一方、Hermesが強いのは「開発の外」だ。毎朝のレポート、定時バックアップ、Slack経由の質問への回答。寝ている間もエージェントが動く、という運用を求められたらHermesに軍配が上がる。
結局、どう使うか
「どちらかに一本化」という話ではない。役割が違う。
- 実装・デバッグ・リファクタリング → OpenCode
- スケジュール実行・常駐・チャネル対応・長期記憶 → Hermes
僕は開発はOpenCode、日常のルーチンはHermes、という組み合わせを試すつもりだ。久しぶりに開いた画面に「ここまで来ていたのか」と正直驚いた。次に開いたとき、また進化している気がする。
Hermes Agentは「育つエージェント」という方向性に振り切れてきた。永続メモリ、スキルの自己改善、複数チャネル、スケジュール実行、多彩なサンドボックス。MITライセンスで、モデルも自由に選べる。OpenCodeは開発ハーネスとして今も頼れる。だから「乗り換え」ではなく「用途で併用」が、いちばん現実的な答えだと思う。